くまもと数学秋祭りプログラム
タイムテーブル
11月19日(土) | 11月20日(日) | |
10:30-12:00 | 折り紙ワークショップ・図形ゲーム | 数学ビブリオバトル in 蔦屋書店熊本三年坂 |
13:00~14:00 | 秘密計算と数学 縫田光司先生(九州大学) | ハサミムシの扇子の数理 斉藤一哉先生(九州大学) |
14:00~15:00 | 折り紙ワークショップ・図形ゲーム | 折り紙ワークショップ・図形ゲーム |
15:00~16:00 | 算数・数学の疑問にお応えします | 算数・数学の疑問にお応えします |
16:00~17:00 | 火力発電所の事故防止へのフラクタルの応用 川島扶美子先生(熊本大学) | テレビゲームの人工知能 三宅陽一郎先生(ゲームAI開発者) |
数学で遊んでみよう!
折り紙や図形ゲーム、生け花などを通じて数学で遊んでみましょう! 大人も子どもも、どなたでもお気軽にどうぞ。
身近な疑問について相談してみよう!
なぜ0で割ったらいけないの?
太郎君と次郎くんはなんで池の周りをぐるぐる回ってるの? そんな事考えて一体なにが楽しいの?
などなど、算数・数学を学ぶときに感じる素朴な疑問について考えてみましょう。意外な発見があるかもしれません。
数学って社会にどう役立つの?
数学を勉強して、一体なんの役に立つんだろう? そう疑問に思ったことはないでしょうか。
実は数学は社会の様々な場面で大活躍しています。九州・熊本で活躍される研究者の方々に、数学が活躍する様子を聞いてみましょう!
講演は対面とオンラインのハイブリッド開催です。講演はお申し込みが必要で有料となりますが、後日アーカイブをご視聴することも可能です。
お申し込みサイトはこちら
縫田光司先生(九州大学教授)
【専門】
暗号理論・組合せ論的群論・コクセター群
【講演タイトル】
「秘密計算と数学」
【講演要旨】
現代の暗号分野では、暗号方式の設計をする際にも、また設計した暗号方式の安全性を評価する際にも、数学が欠かせない道具となっています。さて、暗号技術の一種に「秘密計算」と呼ばれるものがあります。例えば、写真や音楽など何らかのデータを販売しているお店で買い物をするには、普通はどのデータを買いたいかをお店に伝える必要があります。しかし、「秘密計算」を利用すると、どのデータを買いたいかをお店に伝えなくても買い物ができるようになります。この講演では、このような不思議な性質をもつ「秘密計算」の原理や、「秘密計算」と関連する数学について紹介します。
【略歴】
2006年に東京大学で博士号(数理科学)を取得。以降、産業技術総合研究所(ポスドク、研究員、主任研究員)、東京大学(准教授)を経て、2021年4月より現職の九州大学マス・フォア・インダストリ研究所教授に着任。専門は群論、組合せ論、暗号理論。著書『耐量子計算機暗号』(森北出版)。
川島扶美子先生(熊本大学准教授)
【専門】
高温下での金属の強度評価
【講演タイトル】
「火力発電所の事故防止へのフラクタルの応用」
【講演要旨】
フラクタルをご存じでしょうか。この講演ではまず、フラクタルとは何か、を説明します。また、自然界に存在するフラクタルを紹介します。金属の結晶もフラクタルです。とくに、溶接された金属は「フラクタルらしさ」が高いです。しかし、高温に長い時間さらされると、徐々に「フラクタルらしさ」が減っていきます。ところで、火力発電所では配管などの金属が大変な高温にさらされています。これらの金属は時間が経過すると弱っていき、放っておくと破壊して停電が起きます。ですので、弱った配管は破壊前に交換しますが、あまり頻繁に交換すると費用が高くつきます(つまり電気代が高くなります)。そこで、「フラクタルらしさ」を検査して、どのくらい弱っているか、取り換え時期か、を判断することを、私は研究しています。
【略歴】
熊本県立熊本高等学校卒業、東京大学工学部機械工学科卒、同修士課程 機械工学専攻 修了、(株)三菱重工業へ入社。2008年熊本大学大学院自然科学研究科 博士後期課程 産業創造工学科を修了。現在は熊本大学大学院先端科学研究部機械システム設計分野准教授(兼 工学部機械数理工学科准教授)。
斉藤一哉先生(九州大学講師)
【専門】
折紙工学・生物模倣工学
【講演タイトル】
「ハサミムシの扇子の数理」
【講演要旨】
傘や扇子などの日用品から人工衛星の太陽電池パネルまで、大きな構造をコンパクトに折り畳む技術はいろんな場面で必要とされます。ハサミムシは独自に進化した方法で昆虫の中で最もコンパクトに翅を折り畳み収納しています。この講演では折紙の幾何学と最新のデジタル・ファブリケーション技術でこの折り畳みの数理的な謎を解き明かし、人工の展開構造のデザインに応用する研究を紹介します。
【略歴】
2007年京都大学大学院工学研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了、2009年東京工業大学大学院理工学研究科機械物理工学専攻博士後期課程修了、2012年東京大学生産技術研究所機械・生体系部門助教、2017年東京大学大学院情報理工学系研究科特任講師(ERATO川原万有情報網プロジェクト)、2019年九州大学大学院芸術工学研究院講師。折紙の数理や生物模倣に基づく先進構造材料の開発に取り組む。
三宅陽一郎先生(ゲームAI開発者、九州大学マス・フォア・インダストリ研究所客員教授)
【専門】
ゲームAI
【講演タイトル】
「テレビゲームの人工知能」
【講演要旨】
テレビゲームの開発には、さまざまな数学が用いられます。とくに人工知能では、中学、高校で習う数学が用いられています。実例を見せながら、解説させていただきます。
【略歴】
ゲームAI研究者・開発者。京都大学で数学を専攻、大阪大学(物理学修士)、東京大学工学系研究科博士課程を経て博士(工学、東京大学)。2004年よりデジタルゲームにおける人工知能の開発・研究に従事。立教大学大学院特任教授、九州大学客員教授、東京大学客員研究員・リサーチフェロー。日本デジタルゲーム学会理事、人工知能学会編集委員会副編集長。『大規模デジタルゲームにおける人工知能の一般的体系と実装 -FINAL FANTASY XVの実例を基に-』にて2020年度人工知能学会論文賞を受賞。著書に『戦略ゲームAI解体新書』(翔泳社)『人工知能のための哲学塾』(ビー・エヌ・エヌ新社)、『人工知能の作り方』(技術評論社)、共著に『高校生のための ゲームで考える人工知能』(筑摩書房)など。